昔から延々と続いている言い伝えに「たんこぶができたから安心、できなかったから心配」という不思議すぎる誤解があります。普通に考えて、たんこぶがあれば打撲が強かった証明ですから心配ですし、たんこぶもない程度ならまず安心と考えていいでしょう。皮下の出血(たんこぶ)と頭蓋内出血の有無とはあまり関係がありません。
一番大事なのはその時の子供の状態です。
- 親がパニックにならず、いつもと様子が違うかどうか見てあげましょう。
- ワーッと大きな声で泣いている場合はまず大丈夫。
- 上手にあやしながら出血していないか、大きいたんこぶがないかをチェックしましょう。
- しばらく泣いたあと泣き疲れて眠ってしまった。(これも正常の反応です。痛みに対して子供は強い疲労感を感じるのでたいてい寝てしまいます。)
緊急に脳神経外科へ受診させる必要があるのは
- 意識がはっきりせずぼんやりしている
- 短時間でも意識消失があった
- 何度も嘔吐する、強い頭痛をずっと訴えている
- ひきつけをおこした
- 出血が止まりにくいような傷がある
このような状態があれば緊急で脳神経外科に受診させましょう。
たんこぶは2種類
普通の固いたんこぶは皮下血腫。ぶよぶよしたたんこぶは帽状腱膜下血腫で、血液が液体のままなので大きくなりやすい傾向があります。
たんこぶの対処法
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一般的な固いたんこぶは皮下血腫ですので1週間程度で自然に吸収されます。
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帽状腱膜下血腫は血液が凝固せずに貯留するので広範囲に拡がります。
たんこぶがぶよぶよしていて、その上大きいのでお母さんは心配になりますが、数週間はかかりますが徐々に吸収して消えていきます。もし、徐々に大きくなっていくようなら一度脳神経外科を受診してください。
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たんこぶを冷やす時間は20分から30分
打撲の初期には、冷やすとたんこぶが大きくなるのを防げますが、たんこぶが完成してしまったらもう冷やしても効果はありません。冷やし過ぎると頭痛が起こるなど逆効果です。地域によってはたんこぶに「砂糖」を塗りつける慣習がありますが、効果はありません。小さな傷から細菌が入る可能性もありますのでやめましょう。小さな傷は流水で洗浄するのが基本で、消毒液は不要です。
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特に注意すべき時間は打撲後6~8時間
乳幼児が頭を打ったら24時間の注意が必要と言われますが、実際には頭蓋内出血などで何か症状が出るとすれば6時間から8時間以内です。もし夕方に公園でけがをしたとすると、深夜くらいまでそばで経過をみてあげたらまず大丈夫でしょう。どうしても心配なら翌日に病院に行き、CT検査が必要かどうかアドバイスを仰ぐといいでしょう。