日常の外来では「たとえ100歳まで生きても、健康じゃないと意味ないですから」という声を良く聞きます。健康で100歳まで生きた人たちは、それまでに末期がんやくも膜下出血、心筋梗塞や大動脈破裂など重篤な病気にかからずに済んだか、またはそれを乗り越えたという事ですから「人類の超エリート集団」と呼んでもいいでしょう。
いくらそのような病気を乗り越えたとしても、老化による色々な症状に悩まされることは避けられません。それすらないスーパーマン、スーパーウーマンはたぶんいないでしょう。腰痛や膝痛、疲れやすさや不眠、動悸や不整脈、視力や聴力の低下、手の震えや足のしびれ・・・、数えだすと両手では足りないかもしれません。それでもこれは他人の世話にならずに自力で生活できている限り「健康寿命」のうちということになります。
下の二つの表を見て改めて感じるのは長寿ニッポンとは言っても健康寿命は意外と短いということです。そして、自立できなくなる要因は認知症、脳卒中などの「脳の病気」か、加齢による足腰の弱り、骨折転倒、関節疾患など「歩けなくなる病気」のどちらかだという事です。
「シャキッとしたアタマでシャキッと歩く。」これがいつまでできるのか。若い時は息をするくらい当たり前のことですが、高齢になる前からそれを意識した生活習慣を確立させておき、続ける事が大切なのだと思います。