クールジャパンという番組があります。日本在住の10数人の外国人に日本人の不思議を面白おかしく探ってもらうプログラムです。彼らにとって「クールな」日本人から「とうてい理解できない」日本人まで、様々なコメントで楽しませてくれます。先週は「なぜ日本人は暗黙の約束を守るのか」(電車の中では食べ物を食べない、公共の場所では静かにする、ペットのフンの後始末をしたあとは水をかける)「なぜ日本人カップルは人前でイチャイチャしないのか」「なぜ日本人は本音と建て前を使い分けるのか」などなど、興味深いテーマが満載でした。恥の文化、島国の特異性、周りに影響されやすい属性など理由は様々なのでしょう。
人間の性格や行動を決めるのは脳内にある約100種類の神経伝達物質です。その無数の組み合わせによって人の性格は規定されています。そのひとつであるセロトニンは気持ちを安定させる効果を持っています。意欲、気力のアドレナリン、気分高揚や快楽のドーパミンなどと並んで大切な役割を担っています。うつ病の治療によく使われるSSRIというグループは脳内のセロトニンの濃度を高める薬です。
セロトニンの濃度を調節している遺伝子がセロトニントランスポーター遺伝子(SERT)です。SERTにはセロトニンを多くするL型と少なくするS型があり、その組み合わせによってLL 型>LS型>SS型の順番で分泌量が決まっています。LL型の人はストレスに強くて楽天的で大胆な行動をとりやすい、セロトニンが少ないSS型の人は不安傾向が強く、心配性と言われています。面白いのは米国人にはLL型が32%もいるのに、日本人には1.7%しかいないという事です。しかも日本人はSS型が65%も占めているのです。これは日本人の行動パターンにかなり影響を与えているのではないでしょうか。クールジャパンのMC関根麻里さんに教えてあげたい結果です。しかし、SS型は「不安遺伝子」というわけではなく、「慎重遺伝子」なのだと大阪大学遺伝子学の北畠先生は言われています。心配性とは裏を返せば慎重さ、細心さと言う事ができます。お店で体験するきめ細やかな応対や細部にとことんこだわる日本の脳外科医の手術の巧みさにも、この遺伝子が一役買っているのかもしれません。