皆さんは雑誌や新聞で「障害」、「障がい」、「障碍」と異なる表記がされているのを見て、どれが正しいのかなと思ったことはありませんか。私たちの年代は子供の頃から「障害」と習ってきましたし、医学部の授業も医学書もすべて「障害」で統一されていました。これは「当用漢字表」(昭和21年)や「法令用語改正」(昭和29年)の中で、わかりやすい「障害」に統一しようと決められているからです。ところが近年、「害」は「公害」、「害虫」、「害悪」の「害」だから好ましくない、昔の「障碍」に改めるべきだという声が上がってきました。でも「障碍」って難しくて読めませんよね。なので「障がい」がいいのではと、行政関係ではそのように表記されているケースを多くみかけますが、これは個人的にはなんだか落ちつかない感じがします。いろいろな立場の人々の思いが交錯する中で、これからもこの三種類が使用されていくのでしょう。
高次脳機能障害とは?見た目には分からないが影響は大きい症状
高次脳機能障害という言葉はよく聞かれますが実際にはどういうものなのか、一般社会の中でも理解されにくく、生きづらい思いをしている方は多いと思います。その多くは脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)、外傷性脳損傷(転落事故、交通事故、スポーツ事故)、脳症(髄膜炎、ヘルペス脳炎、低酸素脳症)などの後遺症として出現します。四肢の麻痺などと違って周りから見てもわかりませんので、一見すると何も異常がないようにみえますが、患者さんたちは仕事や生活の中で下記のような症状で悩まされています。
1記憶障害
知っているはずの事を思い出せない、新しいことを覚えられないので、せっかく復職しても以前のように要領よく働くことができません。同僚に仕事のやりかたを質問しても覚えられないので何度も同じことを訊くことになり、周囲との関係性が悪くなり、仕事を続けにくくなることもあります。
2遂行(すいこう)機能障害
目標を立てたり、見通しを立てて仕事をすることが苦手になります。ひとつひとつ指示されるとできるのですが、その行為が次のステップにどのように関わっているのかがわかりません。なので、指示されないとどこから手をつけていいかわからず、行き当たりばったりの行動をとってしまいます。
3注意障害
物事に集中できないので、長く仕事が続けられません。気が散りやすいので仕事上のケアレスミスが非常に多くなり、特に二つ以上の事を同時に言われると混乱してわからなくなります。周囲から見るとぼんやりしていて集中できていないように見えます。
4社会的行動障害
意欲の低下があり、他人から言われないと積極的に動けません。感情や行動を自分で制御しにくくなり、落ち込んだり、興奮したりしやすくなります。小さなことにひどくこだわったり、他人の気持ちをうまく察することができない言動がみられます。
このような悩みを持っている方やご家族のために、福岡市の「高次脳機能障がい支援センター」では相談窓口を作って相談を受けつけています。交通事故や脳疾患の後、どうも以前と違うなと感じている方は、相談されてみてはいかがでしょうか。当院に受診して頂き、こちらからご紹介することもできますのでご相談ください。手もとに届いたパンフレットの情報を紹介しておきます。
相談窓口 | 高次脳機能障がい支援センター |
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所在地 | 〒810-0072 福岡市中央区長浜1-2-8 あいあいセンター4階(福岡市立心身障がい福祉センター) |
電話 | 092-406-2455(直通) |