かかりつけ医が気づく主な変化とは
認知症の第一発見者はもちろん家族が一番多いのですが、それ以外にもいつも接している友人、いつもかかっている病院のスタッフ、かかりつけ医という場合もよくあります。認知症はその診断基準に「生活する上でなんらかの支障があること」と明記されていますので、御家族がすべて面倒をみていてあまり困ってない環境では発見が遅れることもあるのです。また今は認知症の専門医よりもいつもかかっているかかりつけ医の診療所で疑われる機会も増えています。それはどのような変化なのでしょうか。
1.受付のスタッフの情報で疑う
- 保険証を返したのにもらっていないと言い張る(ちょっと興奮気味)
- 保険証を失くしましたと言ってくることが増える
- 以前は穏やかだったのに、待ち時間が長いと不満を言うようになる
- 先日出したばかりの薬を取りに来る
- いつもは家族と来ているのに急に一人で受診する(多くの場合、薬を失くしたといって受診する事が多い)
- 保険証や診察券、財布などをバッグから探して取り出すのに非常に時間がかかるようになってくる
- 数百円の支払いでも毎回一万円札で支払おうとする
2.外観の変化で疑う
- 季節に合わない服を着て来るようになる。猛暑の中でもコートを着てくる。
- いつも同じ服を着ている
- 髪の毛、服装など身だしなみを気にしなくなり清潔感のない印象になる
- ボタンをかけなかったり下着が見えても気にしなくなる
- 洋服の色や柄、お化粧などが奇異な感じに変化してくる
3. 診察中の印象で疑う
- 前回受診時の話の内容をすっかり忘れている。
- それでも「物忘れなんか全くない」と全く気にかけていない
- 誰もが知っている最近の大きなニュースを聞いても「大したニュースはない」「特に関心はない」と答える。(オリンピックなど)大きなスポーツ大会が開かれていないかと尋ねると「今朝は新聞を見ていないからわからない」と何らかの言い訳をするようになる。
- 受診のたびに色々な世間話や相談をしていた人が、徐々に会話を好まなくなり「何もありません」「変化ありません」とすぐに退室するようになる
- 定期受診や投薬日を忘れて、受診頻度が減る。
- 内服の管理ができなくなり、不定期に薬を取りにくるようになる。
同居していても二世代住宅や家族が勤めに出ていたりすると、認知症の発見は遅れることがあります。むしろサークルのお仲間の方が「最近よく約束の日にちを忘れる」「最近、みんなとの会話についてこれずに黙っていることが増えた」というような変化で早期に気づくこともあるのです。病院では上に記載したような色々な変化に事務職員や看護師が気づくこともよくあります。75歳を過ぎてからの「なんらかの変化」には常に「認知症のはじまり」を頭において周囲の人みんなが見ていくことが大切です。