従来株の5倍以上の感染力を持つ「デルタ株」の出現により、ワクチン接種で新型コロナワクチンは一気に終息すると考えた専門家の予想は大きく外れました。そして今世界ではWHOが警戒する新たな変異株が次々と生まれています。インドで発生したカッパ株、ニューヨークで発見されたイオタ株、そして最も猛威を振るっているのが南米の「ラムダ株」です。ラムダ株の研究はまだ十分には進んでいませんが、まずペルーで猛威を振るい、アルゼンチン、チリ、エクアドル、米テキサス州、サウスカロライナ州にも広がっています。現在は南米の新型コロナ感染症の20%以上がラムダ株になっています。このラムダ株が今後日本でも感染爆発をおこすのかどうか、それはまだ誰にも予測できません。
ラムダ株に対する直近の医学論文では、最初に武漢で流行した従来株や既存のアルファ株、ガンマ株よりも感染力が強いと結論づけられています。しかし、ワクチンの有効性は十分維持されるようですのでそれは安心材料になりそうです。ただデルタ株よりも感染力が強いのか、感染した場合の重症化リスクの程度などは不明であるとされています。
WHOが今注目しているのはデルタ株とラムダ株の両方が存在している国々の動向です。ラムダ株がデルタ株にとって代わるほど強い力を持っているのか。これを見極める事は、デルタ株に一気に置き換わって感染爆発した日本国内の状況を考えても、とても重要なポイントかと思われます。ウイルス学では、変異株が限りなく強まっていくことはないとされていますが、WHOがこのラムダ株を「注目すべき変異株」から「懸念すべき変異株」のレベルに格上げするのかどうか、非常に気になるところです。