薬の飲みすぎで起こる頭痛はかつては「薬物乱用頭痛」と呼ばれていましたが、現在は「薬剤の使用過多による頭痛」と呼び方が改められています。もともと人間の体には痛みを抑える仕組みが備わっているのですが、鎮痛剤を飲みすぎると薬に甘えて本来の働きが弱くなり、薬が常に体に入っていないと頭痛が起こるという状況になっていきます。「頭痛があるから薬を飲んでいるのに、頭痛外来に来たら薬を飲まないように言われた。」と予想外の表情を浮かべる方もおられますが、脳が痛みに過敏になってしまったその体質を変えないと、いつまでもその状況から脱却することはできません。
正しい診断:片頭痛と緊張型頭痛の分岐点
この病態に陥る重要な原因として、肩こりからくる締めつけられるような両側性の頭痛が、正しく「片頭痛」と診断されず、慢性頭痛の代表「緊張型頭痛」と診断された結果、だらだらと鎮痛剤を飲み続けている可能性があります。片頭痛と正しく診断され、その特効薬を片頭痛発作時に使うだけで多くの方がこの状態から脱することができます。日頃から飲みすぎている鎮痛剤の中にはカフェインや精神安定剤が入っていることがあり、依存性になっているというのも一因です。薬剤の使用過多から脱する一般的な道筋を下に示します。