片頭痛薬物治療の現状
片頭痛の治療にはこの20年数年、トリプタン製剤が使用されてきました。現在日本では五種類の薬とそれぞれのジェネリック製剤【(イミグラン(スマトリプタン)、ゾーミッグ(ゾルミトリプタン)、レルパックス(エレトリプタン)、マクサルト(リザトリプタン)、アマージ(ナラトリプタン)】が使われています。発売当時からトリプタン製剤は片頭痛発作の頓服薬としては非常に画期的で、片頭痛患者さんたちは非常に多くの恩恵を受けてきまた。これからも変わらず使用されていくと思います。
また、予防薬としてはCGRP関連製剤(エムガルティ、アジョビ、アイモビーク)という月1回の注射薬が発売され、ひと月に何度も片頭痛発作を起こす慢性片頭痛患者の予防注射薬としてとても心強い存在となっています。臨床現場で使用している実感としても、その効果は絶大ですので、今後さらに使用症例は増えていくものと思います。
新しい「レイボー」の特徴
- 今回新たに発売されたレイボーは、使用方法としてはトリプタンと同じで、頭痛発現時に頓服で用いる内服の片頭痛治療薬です。片頭痛発作の際に脳内で分泌される疼痛物質の放出を抑える薬なので予防的には使えません。
この薬の効果は服用するタイミングには影響されにくいと言われていますが、トリプタンと同様に、片頭痛発作が起こり始めたらなるべく早く、我慢しないで服用してください。 - レイボーには50㎎、100㎎、200㎎の三種類がありますが、50㎎製剤ではあまり効果がない事がわかっていますのでまずは100㎎から処方します。効果が弱かったり、発作を繰り返す場合は一日2回まで(200㎎まで)使用できます。
- トリプタン製剤は心臓病など循環器系の持病のある人には使いにくい薬でしたが、レイボーは、心筋梗塞や重症高血圧などの人にも安心して使用できます。但し、めまい、ふらつきなどの副作用はトリプタンより多いと言われていますので、服薬後の運転には注意が必要です。(副作用がないことがはっきりすれば運転は可能です)
「レイボーはじめてシート」のこと
レイボーを開始した患者さんには、効果や副作用を記入して頂くシートをお渡ししています。これを書いて頂くことで、この薬を今後も使っていくのか、薬を変えた方がいいかなどの方針が立てやすくなります。片頭痛治療作戦を立てる上で大切なツールです。この薬の発売により、これからの片頭痛治療はトリプタン製剤とレイボー、両者のメリットを生かしながら行なっていけるようになりました。