2020東京オリンピックの延期は1年と決まりました。南欧、アフリカ大陸、これから冬に入る南半球の発生状況、ワクチン開発までの時間を考えると2年の延期だろうと思っていましたが、来年夏の日程案が示されたようです。ニューヨークやイタリアの医療崩壊の現状は目を覆うばかりです。人類の叡智がどこまで早期に解決させることができるのか試される事態となっています。
すでに臨床試験が行われているのは以下の3種
①.抗ウイルス剤 「レムデシビル」(米ギリアド社)
②.HIV(エイズ)治療薬「カレトラ」(米アッヴィ社)
③.抗インフルエンザ治療薬「アビガン」(富士フィルム&富山化学)
さらに、
④.喘息治療「オルベスコ」(帝人ファーマ)
⑤.全身性エリテマトーデス治療薬「プラニケル」(仏サノフィ社)
⑥.膵炎治療薬「フサン」(日医工)
などが候補にあがっています。
①.レムデシビル
レムデシビルが有力候補と言われているのは、同じコロナウイルスが引き起こしたMERS(中東呼吸器症候群)やSARS(重症急性呼吸器症候群)で効果があったことが証明されているからです。新型コロナへの効果判定はこれからです。
②.カレトラ
カレトラはウイルスの増殖を抑える効果があり、かつて治療法がないと言われていたエイズの治療薬として注目された薬です。
③.アビガン
アビガンは「パンデミックインフルエンザ」に対してのみ使用できる国産の抗インフルエンザ薬で、国の判断で使用が許可されます。我々の手元にはなく、新型インフルエンザの大流行に備えて備蓄されています。ウイルスにはDNA型とRNA型があるのですが、インフルエンザもコロナも同じRNA型なので効果が期待されているのです。群馬大学と藤田医科大学が臨床研究を開始しています。
④.オルベスコ
オルベスコは強い抗炎症作用を有する吸入用ステロイド剤。すでに実臨床で好感触が得られたケースがあるようです。
⑥.フサン
フサンはタンパク合成を阻害する薬で急性膵炎の薬です。東大病院ではすでに有効なデータが蓄積されつつあるそうです。
そのほか、武田薬品はCOVID19患者の血液から採取した抗体を凝縮し、免疫活性を高める薬剤を開発中です。一方、この疫病に打ち勝つために最も有効と思われるワクチンに関しては、仏サノフィ社、米ジョンソン&ジョンソン社、英グラクソ・スミスクライン社などの名だたるメガファーマがこぞって臨床実験に入っています。日本では田辺三菱製薬、アンジェス社が着手しており、急ピッチで臨床実験に入ることになりそうです。今、急ぎ期待されるのは、既存の薬の中から非常に有効な薬剤が確立されること、次に安全性の高いワクチンの誕生を待つことになります。